南

ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金の南のレビュー・感想・評価

-
ダースレイダーさんとてらさわホークさんが「元気が出る映画」として紹介していて気になり鑑賞。

グループ犯罪映画を「登場人物の知能」で分類した場合、

①頭の冴えた者たちによる、緻密に練られた計画がパズルのピースのように組み合わさり遂行されていく、クールな作品

②バカ者の集まりである素人犯罪グループが、愚かすぎて自滅の一途を辿るコメディと化した作品

この2つに大別できるかと思います。

そして今作は②に極振りした傑作でございます。

筋肉をデカくすることだけが生きがいの主人公(マーク・ウォールバーグ)が、イケすかない金持ちからカネを奪うため仲間を集めて大暴れ。

「マーク・ウォールバーグが仲間と共謀して金持ちの家に押し入るも計画が雑すぎて大失敗」

といえば『ブギーナイツ』が真っ先に思い浮かびますが、

今作はあのシーケンスのバカ具合にフォーカスし、誇張したかのような作品です。

名シーンが色々ありますが、特に好きなのはケン・チョン扮する怪しい自己啓発セミナー講師の言葉に主人公がコロッと参っちゃう描写。

「Don't be a don'ter! Do be a doer!」

という浅く胡散くさ〜いアフォリズムがたまりません。

過失で別の金持ちの頭を潰してしまった際に、「心を落ち着かせるため」筋トレを始めるのも素晴らしくアホ。

金庫破りに失敗して逃げ出すシーンでボン・ジョヴィの"Blaze Of Glory"が荘厳に流れるのも心地よいミスマッチでたいへん好き。

それから

■繰り広げられる暴挙が荒唐無稽すぎて実話と思えない。でも実話

■人物が全員バカなうえ、タチの悪いことに行動力に溢れている

などのポイントに既視感を感じたのですが、小林勇貴監督の『全員死刑』でした。

また、「お笑いとしてのスプラッター描写」がある作品の一つとしても特筆すべき作品と言えるでしょう。

「バカ者による雑な犯罪、そして知能指数の低さを演出する描写」

が見どころの映画としては、他に

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
『バーン・アフター・リーディング』

などが傑作。

犯罪映画ではないものの、ノリの近さとしては『アイ・トーニャ』なんかもオススメです。
南