ダイアー教授

ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金のダイアー教授のレビュー・感想・評価

3.9
題:筋肉ダルマ3人はマイケル・ベイ映画そのもの
製作:2013年、アメリカ
監督:マイケル・ベイ
原題: Pain & Gain
原作:ピート・コリンズの同名ルポルタージュ
出演:マーク・ウォルバーグ、ロック様、アンソニー・マッキー、トニー・シャルーブ、エド・ハリス

アメリカ犯罪史に残る“実話”がベース。
劇中に登場する3体の筋肉ダルマは“Sun Gym Gang”と呼ばれる連中がモデルとなっている。

こいつら「頭あるの?脳ミソ、筋肉化してんじゃね?」ってくらいバカ。
あまりにもバカげた展開に戸惑っていると
“これは実際に起きたことです”
とご丁寧にテロップが出る。面白いじゃねーか!

監督はハリウッド大予算バカ映画の旗手、マイケル・ベイ。
彼の過去作は『バッド・ボーイズ』『ザ・ロック』『アルマゲドン』『パール・ハーバー』『トランスフォーマー』等々…観ると頭が悪くなりそうな映画ばかり。

とは言え、本作はなかなか見どころのある一本だった。バカ映画だが、バカでは撮れないんじゃないか?
2つにまとめてレビューします。

1.低予算
普段は制作費100億円だの、200億円だのブロックバスター映画を撮っているマイケル・ベイ監督。
本作は低予算とのことで、DVD特典のメイキング映像では「まるで学生映画の気分だよ」とハイテンションだった。
低予算っていっても2600万ドル、28億円だ…!
『シンゴジラ』が2本、「相棒」は2シーズン撮れる予算規模!
「低予算だとおっしゃいますが、日本の大作映画2本分に相当しますねぇ」と、右京さんは呆れることだろう。

2.ベイ映画
私は…本作はマイケル・ベイの映画そのものだと感じた。
ベイのフィルモグラフィは『BB』、『アルマゲ』、『パルハバ』、『トランス』等、並べる者の失笑を禁じ得ないバカ映画のオンパレードだ。

ベイのバカ映画には莫大な製作費と広告費が注ぎ込まれる。
シネコンのスクリーンを占拠し、レンタルビデオ屋の棚に平置きされ、ネット配信サイトのバナー広告を占拠する。

まるで『ペイン&ゲイン』の筋肉ダルマたちのように、内容は空っぽだが莫大な予算という“ステロイド”によって巨大化するのだ。
それは、「勝者こそ正しい!成功こそ全て!」という金という“ステロイド”により肥大化したアメリカン・ドリームのように見える。

ベイは自分の作品たちが“Sun Gym Gang”のように思えたのではないか?
そしてとても“滑稽に”見えたのだと思う。

倉庫に並んだ“大人のおもちゃ”のように!