Kamiyo

赤い航路のKamiyoのレビュー・感想・評価

赤い航路(1992年製作の映画)
3.6
1992年”赤い航路“ 監督.脚本ロマン・ポランスキー
原題はBITTER MOON(苦い月)を『ローズマリーの赤ちゃん』や『戦場のピアニスト』「フランティック」のロマン・ポランスキーが映画化。
作家の妻役を演じているのはポランスキーの妻のエマニュエル・セニエ。

ポランスキーは1968年の「ローズマリーの赤ちゃん」のヒットの後、有名なシャロンテート事件が起こり、妻である女優、シャロンテートがカルト教団によって惨殺されます。
その直後、シェークスピアのマクベスを、血みどろな
スプラッタ映画(殺害シーンにおける生々しい描写に特徴のある、映画の様式のひとつである)wikにて。のように完成させ、批判を浴びたそうです。
(血みどろな事件で妻を亡くした彼が、血みどろな映画を
作る・・・・どういう心境だろう)
その後、ジャックニコルソン邸で少女への淫行事件を起こし保釈中に海外に逃亡し、現在に至るとか。wikにて

堅実な夫、貞淑な妻・・が愛を確かめるために豪華クルーザーで、地中海を旅するところから始まります。
堅実な夫(ナイジェル)を演じるのは
「ヒュー・グラント」
貞淑な妻フィオナを演じるのは
「クリスティン・スコット・トーマス」
そこに現れたのが、セクシーなミミ
「エマニュエル・セニエ」です。
ポランスキーの映画にヒュー・グラントが出てる。
何というありえないことだ。
船のトイレで倒れていたのはやっぱり、ミミだ。
彼女がナイジェルをバーのカウンターで罵倒している。
おかしい…。気の利いたトークでもしてるつもりなのに寝たふりをしてみせたり。
セクシーな女性を目の前にすると、どんないい男も、
少し目の色が変わる(笑)それは致し方のないことです。
しかし、真面目なナイジェルは、それ以上自分の気持ちが揺れ動かないように、ある程度セーブしています。
ミミにも「つまらない男」と軽くあしらわれています
…と手練手管で惚れさせておいて、その後はポン引きのような、登場するのがミミの夫小説家のオスカー(ピーター・コヨーテ)は、下半身が不自由です。
ミミとの激しいなれそめを語る。
ナイジェル(ヒュー・グラント)は巻き込まれ役
聞き役の無垢な青年です。

オスカーよりはるかに年下のミミに劇的な恋をし
溺れ、溺愛し
食べるものも食べずにセックスに明け暮れる。
ミミの魅惑的な姿態と、肌に溺れ
狂っていく様が描かれています。
男を骨抜きにし、女(ミミ)自身も地に堕ちていきます。
次第に、ミミに飽きていくオスカー。
ミミへのサディスティックないじめ。
とにかくここに語られているものは、異常な世界です。
でも、不思議と身近な世界でもあります。
異常であるのに身近です。
セックスに溺れるって、こういうことなのか?
恐ろしい世界を知ってしまった人は
みんなこうなるのか?
誰しも、こうなる可能性を持っているのか?
そんなことを考えて、何とも言えない悶々とした気持ちにさせられます。

浮気や不倫はもとより付き合っていた異性や配偶者との性生活において決して他人に言えない行為をした人っていうのは結構いるのではないだろうか?
男と女が出会い、お互い好意を抱き、そして体を重ねあう。
ひとつになった時にどう感じるか?体の感覚だけではなく心の感覚。
酸いも甘いもかみ分けた、大人の男女の方ならわかると
思います。。。。。お勧めします。

でも笑ったあとに女の底知れない怖さが立ち上がってきてぞっとさせられもした。クレジット順でいくと主演は女ミミ(エマニュエル・セニエ)の虜にされてしまうナイジェル役のヒュー・グラントということになるけど、映画はセニエと彼女に魅了され人生を翻弄されることになったオスカー(ピーター・コヨーテ)二人の赤裸々な性生活がオスカーの回想によって描かれていくのでまさにこの二人の物語といってよいだろう。それは実生活でもセニエを妻としている監督自身のプライベートを見せられているのか、と勘違いしてしまうほど具体性に富んでいる。

ヒュー・グラントがお行儀がよすぎるからか、あまりとんでもない緊張の極みまでは到達しないままでしたね。
ヒュー・グラントって基本コメディーの線かしら。
場違いかも。
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