ちろる

赤い航路のちろるのレビュー・感想・評価

赤い航路(1992年製作の映画)
3.6
「私なんて退屈な旅の娯楽に過ぎないのよ」

セリフがいちいち周りくどくてでも結構的を得ていたのは流石ロマン・ポランスキー監督。
ラストの展開なんて誰が予想してただろうか??
なんといっても若いヒュー様が、最初から最後までしてやられっぱなしで、情けない負け犬な所がとても似合う。
訳のわからないまま、そして、逃げられない豪華客船の中で、とんでもない変態夫婦に目をつけられてしまったナイジェルとフィオナは、夫婦の愛を再確認する為の旅がとんでもない世界を目の当たりにする事に。
他人の性生活を「覗き見」したり「見せたい」世界はなんともロマン・ポランスキーらしいけど、やっぱ究極すぎて私の脳の中では追いつけない。
アブノーマルなシーンはあからさまに描かれてはいないものの、下半身付随のオスカーと、、ミミの関係の主従関係が交差していく様子は秀逸で、引き込まれました。
昔の作品なら江戸川乱歩の「芋虫」、そして最近の映像作品ならば「ファントム・スレッド」虐げられた女が、どん底から這い上がり、狂気に変わる瞬間に放つ妖艶な色気はなんとも言えない画面を惹きつける魅力がありますが、
この作品でもミミを演じたロマン・ポランスキーの妻でもあるエマニュエル・セニエが独特な存在感で演じきっています。
知りたくないし、知らなくてもいい世界だけどなんかちょっと気になる。
そんな大人のアブノーマルな究極の性愛を垣間見たい人は是非この作品をどうぞ。
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