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スノーピアサーの&yのレビュー・感想・評価

スノーピアサー(2013年製作の映画)
4.0
【2014/2/12:渋谷シネパレス】ツッコミどころ満載。原作漫画の粗とはいえそれは間違いなく欠点だけど、どうでもよい。おもしろかったです。
ティルダさんの好演もさることながら、ここでもソン・ガンホを(キマってるけど)超重要な配置につけるポン監督は超イイ人なのでしょう。でも、もう羊羹は食べられなくなっちゃったので「とらや」に訴えられないよう気をつけてほしい。
扉を突破しながら前方車両へ進んでいくので、基本的には同じ構図/描写をリピートするが、途中反日教育みたいな学校(吐き気)や、黒人のお寿司屋さん(ちょっと笑えた)などで飽きない。アイテムを手にいれたり失ったりするうち、それぞれがもたらす意味が変化したり明らかになったり…という仕掛けを駆動させて、人物の成長や訴えるテーマを明確にしてく、良くも悪くもゲームみたいなディストピア映画だった。
カーストを高/低ではなくフラットな前/後で割るという列車ならではの設定、これをうまく生かした斧バトルの横移動スローは「OLD BOY」のあのシーン(あれ好き)のRPG感を思い出してワクワク、カーブで撃たれたときはその手があったか!とドキドキ。映画的アイデアも楽しい。
目がヤバい妊婦の先生が卵の中から引っ張り出してぶっ放す異常さとか、列車で生まれた世代が外に産み落とされる=誕生を示唆したラストの美しさ。「種の存続か個の尊厳か」をベースに引きつつコントラストを効かせた生死観描写もお見事。
列車を人間社会の縮図(ここでは縮図ではなくそのものなのだけど)として描いてるのはわかるんだけど、これ社会派だぞ〜っていう観点だと欠点が目立ってノレないかも。もっと単純に娯楽として楽しむのがいちばんかな。雪の日に観れば良かった!
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