りゅう

スノーピアサーのりゅうのレビュー・感想・評価

スノーピアサー(2013年製作の映画)
3.2
「プラットフォーム」、石田衣良の小説「ブルータワー」など、住む場所がその人の社会的階級と直結する作品は他にもある。
今作もその一つ。
今作では列車の住む場所が住人の階級を表す。
流石に無理がある設定である。
面白いアクションもあるし、列車内の娯楽施設なども楽しげに見えるのだが。
半永久的に動く列車ではすべてが不可能に見える。
「プラットフォーム」は、ファンタジー色が強く、幻想的な世界なので気にならないが、今作では、そこがマイナスに感じる。


◯閉塞感
世界で人が住める環境は列車のみ。
そのことから感じる閉塞感。
どこにも行き場がないという環境は発狂モノである。


◯腕切り落とし
列車から腕を出し、凍結させ砕く。
処刑を執行した男は、腕が凍るあいだ、相方の肩に頭を乗せて、アンニュイな雰囲気。
BLである。

中盤、頭を乗せていた男が殺される際、肩を貸していた方の男が、ものすごい目で相手を睨みつける。やはり。

また、その最中のスピーチがすごい。
偉そうなケバケバしい女がのたまう、ありがたい言葉。
吹き替えでは「そうなのです」が口癖。
この喋りが上手くない人が、偉そうに、上から目線でスピーチする様子を見事に吹き替えている。


◯斧集団、エカテリーナ橋
斧集団との戦い。
斧集団は戦いの前にボラの腹をさばくという、謎の挑発。
戦いの中、エカテリーナ橋を通る。
このタイミングが列車内の新年になるのだ。
このときは斧男たちは一斉にカウントダウン。
「ハッピーニューイヤー!」かわいい。

また、この橋は標高が高く、氷がへばり付き、大変危険な橋である。


◯メイソン、ウィルフォード
「ザ・ビーチ」「コンスタンティン」で妖艶な姿を見せていた俳優。今作は老けてヒステリックなキャラ。盲目的にエンジンの開発者、ウィルフォードを崇拝する。
これは、盲目的に神を崇拝する狂信的な信奉者の姿である。
神は全知全能なのだが、、それだとしたらなぜこのような無慈悲な行いをするのか。
神はいない、、あるいはいるとしたらとても残酷な存在なのではないか。

◯教師
ピアノをひくさいの顔芸。
絶頂したように白目をむきながら、ウィルフォードを称える歌を唄う。
ここらへんも宗教的。
もちろん、メイソンの顔も良き。

◯共食い
列車に避難した当初、飢え死にを回避するため、共食いが始まった。赤ん坊を殺して食べようとした際、自分の腕を切り落とし、差し出した老人がいたとのこと。
この話はブッダの逸話である。
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