衝撃的に良かった。
これはモノクロという選択で良かった。
すごく丁寧に撮られてるし、フォトジェニックすぎる。
美しい。
映像もかっこいいのに、音の使い方もキマッてる。
イントロから即始まるピアノの演奏と、妻を看取った場所から遠く離れるためにアフリカの大地をひたすら歩く、ポルトガル人の猫背男の佇まいに、まず3秒でもってかれる。
ここから、
一部の『楽園の喪失』というタイトルコールが入るまでの流れが、まずお見事。流れるようで麗しい。拍手。
リスボンで暮らす、メイドに悪態つきまくる老女が、亡くなるまでの12月28日から、1月3日を描く1部。
老女が最期に呼んだのは、夫でも誰でもない男の名だった。
2部『楽園』
アフリカ(アンゴラか、ギニアか、はたまたモザンビークか)が、ポルトガルの植民地だった頃、そこで暮らす白人コミュニティにいた過去。
老女の過去が、第三者、彼女の愛した男によって語られる。
16mmで撮影した後編は、過去の記憶の中の映像をバックに、ひたすら男がナレーションに終始する。それがまた良い。
ストーリーはそれほどどうでも良くて、2人の男女の大事な秘密が、過去の大切な記憶として、丁寧に描かれていくところに惹かれる。きっと美化されているところもあるだろうし、嘘もあるかもしれない。
でも一人ひとりにこうやって誰にも言わない秘密があって、誰かが亡くなる度に、それが世界から消えていくんだなぁと思う。
抜きどころも上手いし、てか、うますぎてジェラシーを感じるタイプの映画。