KnightsofOdessa

パリ警視庁:未成年保護部隊のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

3.5
[出演までしたマイウェンの役がマジで要らない] 70点

パリ19区で活動する未成年保護部隊を人間臭く描いたマイウェンの初監督作品。彼女も内務省から来た写真集のカメラマンという役で出演して部隊の写真を撮っているが、その存在は微妙に邪魔で、かつ彼らの普段生活を切り取るカメラのほうが上位互換なので全く意味をなしていない。反面、部隊の多種多様な面々は非常に興味深く描かれている。自由時間にも職務が侵食する者、自分の子供には辛く当たる者、逆に家族円満な者、など人間関係の問題をサンプリングして並べていく。職務においても、子供に関する様々な事件によって異なる人間がかき乱されていくのは、余計な背景が語られない中で捜査官の想像しうる背景によって人間味が余計に増していくようになっているのだ。

射撃テストで"一発も当たってない"→"平和主義者なんでね"は笑った。二日酔いで射撃テストすんなや。"サービスだ"といって乗用車に回転灯付けるのも良い。衝撃的なラストも、結局人間は他人のことなんざ欠片も理解できていないことを明示していて、この映画自体を破壊しかねない暴力性の中に、それでも最大限理解して守らねばならない無力感が積まれていく。保護部隊というだけあって保護した後のことは全く触れられないので、大量の挿話が流れ去っていくような感じは否めないが、麻薬、誘拐、売春、小児性愛まできて広義殺人を捜査官の間で回収してしまう無情さに感服。
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