キラリ

言の葉の庭のキラリのレビュー・感想・評価

言の葉の庭(2013年製作の映画)
4.4
“どうせ人間なんて、みんなどっかちょっとずつおかしいんだから”

46分で満喫できる圧倒的な映像美と切ないラブストーリー。新海誠がもつ美の瞬間を捉える卓越した映像センスには脱帽。

本作のような、ある意味刹那的ともとれる切なさを内包した淡く儚い世界観はものすごく好み。心理描写の緻密さや情景描写の抒情的な美しさも相まって、この物語にどっぷりのめりこんでしまった。全てをセリフで語らず、全てを見せないからこそ、色々と想像できる余白があって、鑑賞後も心地よい余韻が残る。物語に彩りを添えるピアノの旋律と秦基博の主題歌もこの物語の世界観と抜群にマッチしていた。

また、新海誠は、もっとも美しく“東京”という街と“雨”という現象を描くアニメ監督だと思っている。無機質で殺風景なコンクリートジャングルも新海誠の手にかかった途端美しく変貌する。雨の描写も非常に美しく梅雨特有の湿っぽさやジメっとした不快感が映像からまったく感じらない。とにかく美しいのだ。

個人的には、新海誠作品は、近年の万人受けするような長編映画よりも、本作『言の葉の庭』や『秒速5センチメートル』のような短編映画の方が好きで何度も繰り返し観ている。
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