橋本スパゲッティ

言の葉の庭の橋本スパゲッティのレビュー・感想・評価

言の葉の庭(2013年製作の映画)
5.0
すずめの戸締り公開間近の映画天国

注意:新海誠ファン補正が入ってるため満点ですが補正抜きにしても4.6くらいつけたいです。

前作の秒速5センチメートルから映像の繊細さが増した今作。テーマは「雨」
雨の演出一つ一つがとてつもなくリアルで、見ている私たちをスクリーンに引き込む。
雨が降った日だけ、少しづつ進んでいく2人の物語が本当に心地よい。こだわって作ったであろう雨の音が「言の葉の庭」の世界を作っている。

新海誠作品に共通するテーマとして「2人の距離」が上げられるが、今回は「年齢と関係性」からくる距離が2人を遮る。
先生と生徒という関係性が、一時は2人の距離をこれ以上縮めまいとする。雪乃が部屋から出ていった孝雄を追いかけ、物理的にも精神的にも1歩を踏み出した所からお互いが本音をぶつけ合うシーンはとても美しい。

孝雄「(中略)あんたは一生ずっとそうやって、大事なことは絶対に言わないで、自分は関係ないって顔して、ずっと一人で生きていくんだ!」
このセリフ。字面だけをぼーっと見ると雪乃への攻撃(言い方悪いけど)にも見える。でも実際には、上手く歩けないながらも自分の意思で1歩を踏み出し、追いかけてきた雪乃に対して孝雄も本音をぶつけなければならないと思ったのだと思う。
お互いがなにか1歩を踏み込んだ事でふたりの関係性が、先生と生徒から進んだような気がした。

学校に出勤したくても怖くて動けない、孝雄との間に先生と生徒という壁を作ってしまう、というような「自分の本音の通りに動けない」状態を「上手く歩けない」と表現し、それに対応する孝雄の設定を「見習い靴職人」にした新海誠監督に脱帽。
表現力に限界は無いのだと感じさせられる。

スマートフォンが発達した時代に、最後は文通でコミュニケーションを取っている2人。これも自分の本音を自分の字で伝えようとしていると考えるとオシャレという言葉では片付けられない気持ちになる。


「いつかもっと、もっと遠くまで歩けるようになったら、会いに行こう」
いいなぁ…
すぐには会いに行かないんだよなぁ…
完成させた靴、いつか雪乃先生に履いて欲しいなぁ…

わずか45分で何時間分の感動を受け取れるんだろう。短編だからこそ、無駄の無い、でもゆったりした雰囲気で進む展開が好みぶっ刺さりでした。ご馳走様でした。

Rain/秦基博🎶 たまらんです。完璧。



注意:ここから下ガキンチョです

雪乃先生、お綺麗すぎませんか。美人。
あの雰囲気の中で自分の中で処理しきれない弱さを抱えるなんて儚すぎるよ。
声優の花澤香菜さんにも拍手。

本当に雪乃先生と宮水三葉が、どんなアニメーションのヒロインよりも好きです。