アーリー

言の葉の庭のアーリーのレビュー・感想・評価

言の葉の庭(2013年製作の映画)
3.8
2023.5.8

46分ほどの作品。前作「星を追うこども」とは違い、新海誠らしさが戻ったのと、「君の名は。」以降に繋がる作画や絵のタッチがみえる。ある意味ターニングポイント的な作品。

27歳の女教師ゆきのと15歳の高校一年生たかお。2人の心の触れ合いが描かれる。主役は男の方。この年代に見られる年上の女性への憧れが如実に表現されている。ただあまりにも2人の間に恋愛が芽生えてるような雰囲気があって、ちょっと不安になる。たかおのデザインや雰囲気が高校一年とは思えないほど大人びてるから余計違和感。恋愛に発展しそうという怖さがずっとあった。流石に27と15の恋愛は。もちろんゆきのはそういう感情はなかったと思うけど、何故か雰囲気的にそう見えてしまう。ただリュック・ベッソンの「レオン」では男女逆転のもっと歳の差がある2人の話やったけど、そこまで不安は感じひんかった。なんの違いがあるんやろう。話の目線が年上の方やったからか。ゆきのがほとんどミステリアスな女性として描かれてるから、彼女の真意がわからなくて凄い不安になる。

お互い日常に悩みを抱えたもの同士。雨の日に特定の場所だけで会える存在というのが、日常と違うもので、それが心の拠り所になっていた。ゆきのは最初の段階でたかおが自分の通う学校の生徒だとわかっていた。たかおが自分に抱くであろう気持ちもある程度わかってたはず。女性のために靴を作る。15歳の少年がそんなことをするのは、恋以外考えにくい。自分が救われるために関係を続け、たかおの告白を受けて大人の対応をしてしまう狡さを、たかお自身が責め立てる展開。そしてやっと自分を曝け出すゆきの。なかなか良かったと思う。たかおもある意味、大人の女性という存在そのものに恋をしてしまったような感じかもしれんし。
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