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言の葉の庭のレクのレビュー・感想・評価

言の葉の庭(2013年製作の映画)
3.5
靴職人を目指す高校生と缶ビールを飲む年上の女性、約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ね、心を通わせていく。
デジタル時代の映像文学で世界を魅了する、新海誠監督作。

言葉にしなくても伝わること、言葉にしないと伝わらないこと、そして言葉に出来ないこと。
それは登場人物の心情だけでなく、映像や音楽にも表れていて、雨音や風に揺れる草木、陽の光が差し込んだりといったひとつひとつの描写で感じられる。
その絵が言の葉の代わりに語っているかのようにも見える。
言の葉が紡ぎ出す心情と、画が魅せる情景。
梅雨のように不安定に揺れ動く互いの心模様を雨模様が美しく描き出し、心に染み入る。

この物語の良さは恐らくネタバレを読んだだけでは何一つ伝わらないだろう。
言の葉が紡ぎ出す心理描写と、言の葉を使わず絵で表現するその場の雰囲気。
46分という上映時間の短さの中で、いや46分という長さだからこそ、濃縮された感情表現、この絶妙なバランスに仕上がったと思います。
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