みみっぴ

オン・ザ・ロードのみみっぴのレビュー・感想・評価

オン・ザ・ロード(2012年製作の映画)
4.4

原作はジャック・ケルアックの自伝的小説「路上」

1940〜50年代にかけ、浮足立ったアメリカ中を時に季節労働者として渡り歩き、ドラッグやジャズ、文学運動にのめり込み、露悪的に、無鉄砲に、無節操に、燃え尽きて、別れていく若者たち(ビート・ジェネレーション)の姿が描かれている。

この作品を知る上で、1940〜50年代のアメリカは第二次世界大戦が終わり、ある種の現実社会へのストレスから、若者たちの抑圧が高まっていた社会背景が窺える。
それらの反発は文学運動や行動様式を伴って、後のヒッピームーブメント、ベトナム戦争に於ける若者の大衆運動などのカウンター・カルチャーに合流していき、それらの若者に支持されたのが本作「路上」、即ちビートニク文学。

主人公、サル・パラダイス(ケルアック)のサム・ライリーは映画「コントロール」でジョイ・ディビジョンのイアン・カーティス役を高いレベルで演じていた(怪演)が、今回も鉄砲玉のような生き方しか出来ないディーン・モリアーティ(キャサディ)と一緒に退屈から逃げるように馬鹿騒ぎしつつ、実際は強く憧れながらも少し引いて見るような機微があって味のある距離感を演じていた。

途中で出てくるブル・リー(ウィリアム・バロウズ)役がまさにドラッグ・ジャンキーのアブないインテリって感じがすごく良くって。庭で瓶に向かってピストルを撃つ無意味なシーンがあったけど、あれは後にバロウズが恋人の頭に瓶を乗せてウィリアム・テルごっこしていたら誤って殺してしまった事件の伏線というかジョークだと思った。
みみっぴ

みみっぴ