MASARUの痛風は経過観察

オン・ザ・ロードのMASARUの痛風は経過観察のレビュー・感想・評価

オン・ザ・ロード(2012年製作の映画)
4.6
俺は旅にほとんど行かない保守的人間で、
旅に出てポエムみたいなことを言う奴は嫌いだし、
世界一周をウリにしてる歌手も、
ハワイから帰ってきて「ただいまJAPAN」とつぶやくモデルも興味がない。(極度のひがみ)
モーターサイクル~やイントゥ・ザ~はいい映画だと思うけど、俺の映画じゃないと思ってた。

そんな感じだから、この映画もあんま興味なかったんだけど(どうせそんな感じでしょ)、
結果、むちゃくちゃ良かった!

とにかくエディトリアルとサービス精神が行き届いた映画で、
かったるいナルシストな意味のない風景はいらねぇよ!とばかりに、色彩の違う画や、ビシッとした構図の画をバシバシ繋ぎ、20分に一回ぐらいはオッパイがでてくるから全く飽きねー。
そういう強い意志が映画全体に貫かれていて、ALEC SOTH'Sの写真集を見るような気持ちよさがあった。

ディーンみたいなキャラは映画でも現実世界でも普遍的なキャラで(おるおる)、ものすごく物語に感情移入できた。
遊びに行くのに、一応嫁さんを誘うシーンは、心底「こいつクズだな」って思った。

この映画で描かれる旅とは、酒やドラッグやセックスのような刺激、劇中のセリフでいうと花火みたいなもんで、その後に残るのは空虚感だけだ。それを経験することで成長するっていうのは、なかなか苦い後味だった。

観終わった後、旅に出たいとは思わなかったけど(だって疲れそうじゃん)、変にやる気が出て、すごく元気になった。
あと、その夜は酒が飲みたくなった。