不在

小さな悪の華の不在のレビュー・感想・評価

小さな悪の華(1970年製作の映画)
4.0
この映画は反キリスト的でも、サタニズムを推奨するようなものでもない。
二人の少女が自分の居場所を見出したのが、たまたまサタンだっただけだ。

世間の潔癖さに嫌気が差す年頃というのは、誰もが経験してきたはずだ。
自身も欺瞞に満ちているにも関わらず、子供には善を強要する大人達。
毎週必ず教会へ通うくせに、家に帰れば教えを忘れる。
まだ幼く、人生の複雑さを知らない彼女達は、その偽善に耐えられなかった。
子供にとって、表の反対は裏でしかない。
世界にはあらゆる側面がある事を知らないからこそ、当然の帰結としてキリストの反対であるサタンに行き着いてしまうのだ。
しかし彼女達も大人と同じく、自身の行いを正当化する為に宗教を利用し始める。
そんな二人の少女が辿り着く結末は、神の名の下に行われる殺人と同じように、サタニズムを利用した、社会に見捨てられた子供による大人への報復なのだ。

孤独な子供は、自分の居場所をなんとか探ろうとする。
少女達はそれを、お互いがお互いの中にいるサタンに見出してしまった。
教会で禁止されていた映画やテレビが、その救いになったかもしれない。
不在

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