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小さな悪の華のtakatoのレビュー・感想・評価

小さな悪の華(1970年製作の映画)
4.1
まさに中二!な悪徳の栄えな作品。中二な年頃の女の子たちが悪いことしまくる、というニューシネマな感じの無軌道な若者系な作品だが、ラストは寂しい敗北に終わらず、痛快なほどに壮絶に終わるのが珍しい。

今の日本と同じくらいやたら善良さに囚われて息苦しい50年代?のフランスを舞台にした反逆の物語。「失楽園」から続く自由意思の象徴としての反逆だが、ニューシネマあたり、いやその前から問題に行き詰まっていた。それは「何からの自由か?」より「何のための自由か?」のほうが重要ということである。

単に好き勝手する自由は、だいたい無意義に終わるか、自滅エンドにしか行き着かないのだ。結局自由は白い紙みたいな物で、そこに無意識書きなぐっても価値ある物が産まれるのは偶然頼みに近い。故に意義ある物にしたいなら、価値と目的の意識をしっかり智力によって掴まなければならない。そうしなければ大抵、水は高きから低きに流れてしまう。最小限努力の法則で、1部の人を除いて大抵は環境に意識的にせよ無意識的にせよ強制されない限り建設的な努力はしないものである。彼女たちもその通例をなぞり、せっかく自由と若さを無駄使いした、というのが結論だろう。反逆は格好良いけど無意義で,「昔は俺もヤンチャしたけど、今は真面目にやってます」式のダサい理屈に回収されていってしまいがちだが、反逆自体が駄目なのではなく、反逆のための反逆では駄目なのだ。

長々と書いたが、コリンウィルソン氏の受け売りなので、詳しくは彼の著書をお読み頂いたほうが有意義です!。「アウトサイダー」が有名だが、私はそれ以外の著作のほうが好きである。
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