Hiro

ドリーマーズのHiroのレビュー・感想・評価

ドリーマーズ(2003年製作の映画)
3.9
「The dreamers」
この映画が好き、なんて口が裂けても人には勧められそうにないけど、思いがけず良い映画だったことは間違いない。

観る人を選ぶ映画であることは間違いないと思いますが、映画愛に溢れた作品でした。特にヌーベルヴァーグ時代の巨匠たちへの畏敬の念を感じた。古作が多すぎて、正直見たことのある作品は二作品くらいしか無かったけど、それでも面白かったです。

見始める前はまさかこんなにも裸のシーンが多いとは思わず正直驚き…。でも、マシューもテオもイザベルも、息を飲みたくなるほどの美しさで、芸術品を見ているような、そんな気持ちになりました。いやらしさとかが全くなくて。

テオとイザベルのあのなんとも言えない関係を表現できているのがすごい。側から見たら異常でしかないんだろうけど、時間が経つにつれて、彼らの関係性を受け入れている自分もいて。近親相姦と言えばそうなんだけど、それだけではない彼らのつながりを感じました。

両親との関係も、いまいち釈然としなかったけれど、それも凄く良かった。彼らが子供を愛しているのか、そうでないのか、どちらでもないのかがはっきりとは分からなくて。

政治と映画と、愛と青春と。内容は少し違うけれど、ブレッソンの「たぶん悪魔が」と雰囲気がとても似ていた。退廃的で、厭世的で。
今現実で起こっていることを真正面から受け止める気力は無いから、彼らはきっと自分たちだけの理想の世界をあのアパートで作ろうとしていたのかもしれない。

ラストもなるべくしてなった終わり方だなぁと言う感じ。マシューが彼らとずっと一緒にいれたわけはないんだけど、でもきっと彼は何年経っても彼らのことを忘れることはないんだろうな。

衝撃的なシーンに目が行きやすいけれど、所々可愛いポイントもあって好きです。映画当てゲームとかすごい楽しそうだし、個人的にはあんなに男慣れしてそうなイザベルが、超キュートな部屋に住んでることと、上手く料理が作れない所が好き。

ドリーマーズという題に相応しく、2時間ずっと白昼夢を見ているような気分でした。そして最後の爆発と共に現実に戻された感じ。
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