ドナウ

紅いコーリャンのドナウのネタバレレビュー・内容・結末

紅いコーリャン(1987年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

エル・トポの手足のないマスター二人を中心に据えたショット、ひろしまの爆心地を彷徨う山田五十鈴、そして本作のジャケットになっている紅く燃える家族三人が現在の私的圧倒的人物像3選。

原作は未見。日本人的な視点だけれど日本軍の滑稽さはロシアや中国等の共産圏で検閲を避けるための隠れ蓑という見方をしてしまう。賊と党員とが同列に扱われ、党員は生きながらにして処刑、中国人による中国人への皮剥ぎという大陸的な処刑、勇敢に抵抗するも劇的な勝利などはなく、極めて悲劇的なラストが待っている。とはいえコーリャン(中国)は踏みにじられ、人民は等しく日本人に殺され、日本人による惨劇と悲劇という反日本…どちらが正しいのかやっぱり判断つかない。思い出したのは炎628、こちらは冒頭明確に反戦の意思を表していたけどそんなことはなく昔々…のメロドラマ。やはり過去をぶっ壊した日本人に対するカウンターだろうか。ドギツい色彩のサイケデリア、紅に塗れた人間の強烈なカット、超自然的で神秘的な風景。なぜ中国の一連の映画はこんなにも色鮮やかなのか…中華風の音楽と色がたまらない。

このままではベストが中露独ばかりになってしまいそうなので同じ国は1、2作品に抑えようと思う。
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