孤独に苛まれている中年男(竹中直人)が、誘拐した女子高生(小島聖)をパートナーとした、同棲生活を結実させようとする。松田美智子・著「女子高校生誘拐飼育事件」をベースにしている、エロティック・サスペンス。筆者は原作を読了済み。
原作は犯人と被害者の人物像を徹底的に掘り下げている完全密室劇(1965年の事件が元ネタ)だが、本作では監禁場所となるアパートの群像劇を独自要素として加味。少女の性格付けが根本から変えられており、犯人と被害者の同調も端折られている。
脚色を手掛けているのは、晩年期の新藤兼人。彼の全盛期に原作の元ネタとなる事件が発生しているが、肝心の映像化があまりにも遅すぎた模様。「北斎漫画」の老人パートのような、浮世離れしたドラマ展開が中心となっている。
端的に言うと、ヌード女優へと脱皮した小島聖(当時22歳)のための作品。女子高生の役柄は無理があるけれども、豊満なボディを拝み倒すことが可能。処女喪失のシーンは、過去の実体験を反芻しながら芝居しているに違いない。そう思うと、興奮が倍増する。