NEW

永遠の0のNEWのネタバレレビュー・内容・結末

永遠の0(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

※原作を読んでいない、戦争について深く知らない、という前提で批評。

正直な感想、物語の強烈性に欠ける、つまりそこまで感動しなかった。
劇場では序盤から鼻をすする音も聞こえてきたけれど、原作を知らない自分からすればありがちな展開。
たしかに宮部久蔵の信念はすさまじく、孤立無援でも自分を貫くその姿勢は胸に刺さるものがある。
しかし、なぜそこまで強い信念を持つに至ったのか、根拠が弱い。

妻子(家族)のもとに生きて帰りたい、これは宮部だけではなく他の人間だってそう想っていたはず。
でもそれを口に出さず、国に命を捧げることが当時の日本人にとっての美徳(常識)だった。
その美徳(常識)に逆らってまで信念を貫く宮部、なぜ宮部だけがそこまで強くなれたのか、そこをもっと知りたかった。

とはいえ、現代を生きる健太郎の物語も同時進行で進むため、宮部の人生を深く描写できないのは、約2時間という枠の中では仕方がないのかもしれない。
尺の足りなさは小説の映画化に必ずつきまとうボトルネックだ。

ところで、宮崎駿氏が永遠のゼロを『神話捏造』と批判しているらしい。
言われてみれば、特攻というものが美化されすぎている感はあるかもしれない。
特攻隊員の誇りは描かれていても、そもそも特攻っておかしいよね、という構造的な問題には一切触れられていない。
いかにも日本的な映画である。

と、かなりマイナスよりな感想になってしまったが、戦争に巻き込まれた人々の想いを風化させないためにも、また現代人が戦争について考えるきっかけになるという意味でも、このような映画は定期的に世に送り出されるべきだ。
NEW

NEW