これがたった70年ほど前のお話とは信じられない。
死ぬのが当然と命が軽視される時代。
そんな中、生きて家族の元へ帰ることを信念にした零戦乗りの宮部久蔵。
強靭な集中力で長距離を飛行し何度も生還してきた彼が、なぜ特攻で死んだのか。
孫たちが宮部を知る人々にインタビューし真相に迫る。
この戦争の結末を知っているからこそ強く思うことなのかもしれないが、この時代の価値観には憤りを感じられずにはいられない。
若い命が簡単に捨てられてしまうこと、成績が正当に評価されない階級制度、弱い者はどこにいても虐げられてしまう状況は現代を生きる者からするとあまりにも時代遅れで野蛮だ。
それと対照的に普通の心を持ち続ける宮部の強さが純粋にかっこいい。
戦時中何人もいたであろう宮部のような人々に敬意と感謝と祈りを。
いつか鹿児島の知覧特攻平和会館に行きたいと強く思う。