よゐこちゃん

永遠の0のよゐこちゃんのレビュー・感想・評価

永遠の0(2013年製作の映画)
1.5
戦争を知らない私たち現代人が戦争映画で泣くのは戦争に翻弄された人間たちの「ドラマ」があるから。そのドラマに「愛」とか「家族」、「友情」やらのキーワードを見出して泣く。
この映画はドラマ映画だ。零戦、特攻隊を題材にし、戦争そのものは美化されたオプションであった。

お国のために命を捧げ、死んだ人々には敬意を払う。しかし、戦争そのものは無意味であり、今回題材とされる特攻隊を筆頭にどう考えても彼らの死は「犬死に」だ。若く美しく逞しい私たちの先祖を殺した戦争が、くだらない作戦が、非常に憎い。
私の祖父は海軍に所属し、軍艦に乗っていた。今も生きている。
小さい頃から戦争の話は聞いた。普段あまり話さない祖父は戦争の話になると喋るのを止めない。しかし、その話の中に感動秘話など微塵もない。
戦争を生きた目の見えない90の老人が、笑いながら「愚かな人間の、愚かな時代だった」と言う。

嫌いなわけではないが、この作品は戦争の残酷さ悲惨さを描き、翻弄された人々の悲しみを今に伝えるものではなく、「その時代を生きた人々の泣けるいい話」である。それはそれで、戦争を知るという入り口に繋がるのであればそれはいい事だと思う。
でもわたしはこの映画を観ても涙は出なかった。そもそも戦争映画は、泣けるものでなければならないのか。これは戦争映画ではないし、反戦メッセージもない。結局、感動の叩き売り、お涙頂戴にはもうウンザリってことです。以上。