たけちゃん

永遠の0のたけちゃんのレビュー・感想・評価

永遠の0(2013年製作の映画)
4.0
それが戦争で生き残ったということだ。


山崎貴 監督 2013年製作
主演 岡田准一、井上真央


勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」
今日は8月15日でしたね。
「終戦記念日」です。

昔よりも過去を振り返ることが多くなりました。
年なんだなぁ……。
そして、やはりこの時期は太平洋戦争を扱ったものを観なくちゃと思うんです。やっぱり風化させてはいけないと感じまして( ˘ ˘ )ウンウン

僕らは「戦争を知らない子供たち」なので、語り聞くしかないんです。わざわざそんなの見なくても、聞かなくても、と思う人もいると思うんですが、もう、そこから風化は始まっています。


僕の父は昭和9年生まれ
僕の母は昭和14年生まれです。
戦時下でお腹を空かせていた世代ですね。
父は早生まれですので、あと5年早く生まれていたら、学徒動員で戦地に赴いたかもしれません。
両親とも北海道の人ですので、空襲に合ったりはしていないのですが、それでも、ほんのわずかの差で生き残ったと言えます。



シリーズ「映画で振り返る太平洋戦争」として、昨日の「風立ちぬ」に続けて、今日は「永遠の0」を鑑賞しました。
これは評価が二分している作品ですね。
おそらくは原作者の百田尚樹のせいでしょうか。
でも、僕は本作が好きです。

彼は好きではないのですが、そのために作品の評価が歪むのは違うと思います。なので、映画「永遠の0」に対して、しっかりと評価したいと思います。


祖母を亡くした孫の姉弟が、実は祖母には今の祖父とは違う特攻で亡くした夫がおり、それが実の祖父だと知ります。その祖父がどんな人物だったのかを知りたくて、祖父を知る人物を探し、訪ねていくストーリーです。


特攻で亡くなった祖父を演じるのが岡田准一くん。今回も素晴らしい演技でしたね。僕自身は岡田くんがすごく好きで、ジャニーズ俳優とは見ていないのですが、今回は彼のアクションに頼らない作品なので、余計に演技が光りました。

あと、脇を固める俳優がいずれも素晴らしく、それもあって映画の説得力がより増していました。特に、橋爪功さんが素晴らしかったなぁ。もちろん、夏八木さんもね。


今作への批判に「戦争讃歌」「特攻讃歌」というのがあるんですが、それを唱えた人は本当にこの映画、ないしは小説を観たり読んだ上で批判したのかと思うんです。
僕は原作も読んだし、映画もこうして観ましたが、戦争を肯定する描写や言動はどこにもありません。それどころか、ハッキリと特攻批判の反戦映画だと感じましたよ。

また、「上官批判」ということでは、あの時代で公然と上官に対して批判できるなんてことはありえないし、死にたくない、生きて帰れ、などとは口に出来なかった、という批判もあります。
当然そうだとは思うのですが、今作はどこまでもフィクションであるし、口には出来なくてもそう思っていた者がいたことは十分に考えられることです。
ノンフィクションを謳って作品を発表したのならまだしも、そうでないのにその批判はお門違いだと思いましたよ。


僕がなぜこの映画を評価するかというと、戦争を風化させないために一役買っていると思うからです。
こんな歴史を繰り返してはいけないと思い、大勢に無批判であってはいけないと感じ、傍観者にならぬようにと戒められます。


映画で描かれた「生きて帰る」という強い思いが人を動かし、国に残した妻と娘を生かした。
その「生きる」という思いの連鎖が受け継がれなくてはならない。
そんなことを感じる今年の「終戦記念日」でした。