和田島イサキ

正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官の和田島イサキのレビュー・感想・評価

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 感想がとても難しい作品。
 主題がもう真面目も真面目、アメリカにおける移民のあれこれの物語です。
 各個に異なるルーツを持った人々のドラマが、それぞれ別個に展開してゆく、いわゆる群像劇的なお話。

 アメリカの事情をよく知らないためコメントがしづらい、というのが正直なところなのですけれど、でも作品そのものはわりと楽しんで(という言い方では少しニュアンスが違うものの)観ました。
 娯楽作品としては正直「地味」というのが率直なところで、しかしそれはすべて「まあこのテーマならどうしてもそうよね」的なもの。
 逆にこの内容でこれだけ引きつけてくれたのなら、もう十分というかむしろすごいような気もします。

 とても簡単には割り切れないそれぞれの事情。「そうは言ってもルールを破っている以上は文句言えないよね」の気持ちと、「でもそれがそう教科書通りに行ったら苦労はないよね」というそれぞれ相反する気持ちを、ビュンビュン反復横跳びしながら見ました。
 いや、そもそも別に何も違反してない人とか、逆にそこまで切羽詰まってもないのに犯罪に手を染めちゃう人とかもいるんですけど……。

 それぞれの結末は千差万別、強制送還だったりあるいは亡くなったり、逆に無事永住資格を取得できたり。
 しかしいずれの結末もわりと理不尽というか、「本当にただの運では?」みたいな無常さがとても好き。

 安易に断罪も同情もできないものの、いろいろ価値判断を問われるのが楽しい作品でした。