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世紀の光の小のレビュー・感想・評価

世紀の光(2006年製作の映画)
3.5
わからん、わからんよ。お手上げ~。これ、見終わった直後の感想。「おいてきぼりですか?」状態。でも「わかる」を諦めてみたら…、「わかる」ではなく「感じる」作品ではないかと。

フライヤーを見ると「前半・後半でエピソードが反復され、夢を見ているよう!」とある。「前半は地方の緑豊かな病院、後半は近代的な白い病院が舞台」「登場人物の多くも重なり、医師の恋の芽生えなどのエピソードは二つのパートで反復」「自然の光と人工の光」など、仕掛けを隠す気ゼロ。

ストーリーも敢えて退屈にしているのではないか、というくらい平凡で、寝落ちしないよう耐えるのに必死になった。だからこの作品は、多分、感じて欲しいのだろう、と思うことにした。

感じるのであれば、前半と後半、どちらが好きか嫌いかを考えてみる。美しく、開放的で、気持ち良さそうなのは前半。後半は人工的で、閉息感がある。女性も前半は優しそう、後半は強そう。リアリティは後半、夢の世界は前半。

自分はどっちの世界に居たいか、と言えば、後半の世界のような気がする。もちろん、たまには太陽の光輝く、緑豊かなところに行きたい。でもずっと居たい? 白い世界、違和感がない。緑の世界、今時どこ? 百年前? どこか遠い世界。

劇中の緑の世界ならともかく、現実は何かと不便だろう。虫もたくさんでるだろうから、我が家の女性陣は絶対に無理。第一、自分だって、どちらかと言えば緑の、自然の光の世界を抜け出して、好き好んで白い、人工の光の世界で暮らしている。

とまあ、芸術が苦手な自分は、芸術的であるはずの作品を、卑近な例えをもとにすることでしか鑑賞できないという、自分の限界を知った作品でした。
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