蒸発した妻（宮下順子）を捜すため、単身香港へと赴いた夫（井上博一）が、売春斡旋業者（やかた和彦）に遭遇する。大々的な香港ロケを決行しながら、夫による妻捜しを描いている、日活ロマンポルノ。
「ブルークリスマス」（岡本喜八監督）の仲代達矢よろしく、異国の地を当てずっぽうに彷徨い歩く。単なる観光地巡りではなく、猥雑な路地裏にも行くため、それなりにエキゾチックだが、九龍城はほんの少ししか登場しない。
突然蒸発した妻に対して「何故なのか？」と理由を訊くことを目的として、夫は捜索を続ける。しかし、日本人女性を専門にした売春斡旋業者と接触したばかりに、人生が暗転してしまう。作風としては「巻き込まれ型サスペンス」の印象が強い。
宮下順子の妹役を小川節子が好演。片桐夕子も端役で登場する。また、主人公がドラッグ漬けにされる場面では、愉快なサイケデリック映像が繰り広げられる。「宮下順子の性の暴走に鑑賞者も一緒に巻き込まれる」という、稀有な体験に浸ることが可能。
