Y

最後の日々 生存者が語るホロコーストのYのレビュー・感想・評価

4.0
ハンガリーに生まれたホロコースト生存者の方々6人へのインタビューを中心に、あの時何が起こったのか資料と共に分かりやすく進んでいく。
人はこのできごとを消して繰り返してはいけない。改めてそう強う思うと同時に、昨日まで友達だった人々がナチス側に寝返ったという彼らの証言を聞いて、日ごろのマイクロアグレッションや差別的な言動が、歴史の大きな渦に呑まれた時ここまで大きな悪に変わってしまうということを感じて、ゾッとする。私たちの時代は本当に大丈夫だろうか?大きな悪に向かって気付かないうちに進んでないだろうか?
生存者の2人が故郷を死ぬまでに見たかったと言い、ハンガリーの街に戻るシーン、どちらも現在のウクライナ領になっているんですね。ナチスを解放したはずの国によって、いままさに攻撃を受けている国。
複雑な心境になると同時に、何度も何度も争いを繰り返す人類に怒りが湧きます。
目を背けたくなるような残忍な記録もそのまま映し出している本作は、ホロコーストについて学びたい人は絶対に一度は見るべき映画。一人一人のエピソードが忘れられません。この作品の素晴らしい点は、ホロコースト生存者だけでなく、アウシュヴィッツでナチス側の医者をしていたドイツ人のインタビューと生存者との対話のシーンがあったこと。そして、解放任務のためにアウシュヴィッツに向かったアメリカ兵達のインタビュー。あらゆる側面からホロコーストを語ることはとても重要だと思う。

ちなみにスコアを1つ下げたのは、どうしてもラストがアメリカ万歳臭を感じてしまったこと。この違和感を大切にしていかなくてはとも思うので、こんなこと言っていいのか分からないけど敢えて書いておきます。
Y

Y