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私が愛した大統領のodyssのレビュー・感想・評価

私が愛した大統領(2012年製作の映画)
2.0
【この出来ではローラ・リニーが気の毒】

残念な出来の映画です。

なぜか。作品のコンセプトがはっきりしないからです。フランクリン・デラノ・ルーズヴェルト(FDR)と従妹である女性の関係がこの映画の核心なのだから、そこにもっと時間をかけて光を当てなくてはならなかった。しかるに、出来あがった映画ではそうなっていない。これではヒロインの存在理由や、なぜ大統領が彼女を必要としたかが、観客に十分伝わってきません。

脚本的にも、『英国王のスピーチ』で日本の映画ファンにとってもなじみ深い存在となった英国王ジョージ6世の出番が多すぎて、作品の重点がどこにあるのか分からなくなってしまっている。このエピソードでは、ヒロインはどう見てもたいした役割は果たしていませんからね。なのにここに時間と、内容上の重みを置いたために、ヒロインの印象がさらに希薄になってしまっている。

本来、この映画ではFDRの大統領としての職務にあまり力点を置いてはいけなかったはず。第二次大戦期という重大な時代における激務や、母および妻という身近な「強い女」を操ることに疲れた大統領は、別の何かを求めていた。そこにこそヒロインの登場理由があったはずでしょう。その肝心の部分を描くのに時間と工夫を凝らさないといけないのに、監督は何をやってたんでしょうね。

中年になってむしろ魅力が出てきたローラ・リニーの当たり役になりそうだったのに、作る側がボンクラすぎて彼女の持ち味が活かせなかった。私はリニーがわりに好きなので、彼女がかわいそうでなりませんでした。
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