点心

わたしはロランスの点心のネタバレレビュー・内容・結末

わたしはロランス(2012年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

グザヴィエドラン、天才すぎて怖い。(マーフィーの法則とか90年代にはやったのになんで知ってんの??)

楽しみを半減させることリスト、子ども部屋をパステルカラーにする親、ブラックチョコ。

乾燥したての洗濯物ってあったかいしいい匂いがするし最高だよね。朝起こすときにロランスが降らせる洗濯物の雨、レオに乾燥したての洗濯物を降らせてあげるフレッドの愛情。二人で飛び出したときにふる服の雨、二人の気持ち。

洗車中の車の中、雨の表現が印象的。

詩集にめいっぱい詰まったフレッドへの想いが豪雨になって降り注ぐ。豪邸にそっと置かれた、ロランスがくれた鳥のランプ。

長い髪をブラシでとかせる女性、パーマにする女性、クリップをネイルに見立てて坊主の頭を撫でるロランス。

ウェイトレスと言い合うフレッドのシーンが圧巻だけどフレッドもいっぱいいっぱい。

ロランスは「切れてるけど私はいらない」フレッドは「私はいる」砂糖はこれからの生活のことかと思ったけど、最後はロランスもコーヒーに砂糖入れてるね。

ロランスにクビを宣告する職員会議の壁とフレッドの仕事を断る部屋の壁は親のエゴのパステルイエロー。

親つながりで知ってたリッチなパリピのパーティに行くときにはずす、ロランスが最初にくれた蝶のネックレス。

 カルダモンもない平凡なトロワ・リヴィエール。
大きな家に金持ちの夫、かわいい子どもがいるフレッド。幸せなはずなのにときどき爆発しそうになるフレッド。フレッドにわざとぶつかるシャルロットの小さなイライラ。買い物に行くわけじゃないとわかっているのに車のキーを渡してあげるシャルロット…。シャルロットめちゃめちゃえらくない? あの手紙を握りつぶすこともできたのに。まあつぶしても止められないってわかってたからだと思うけど…。まったく話を聞いてくれないロランスに尽くして…シャルロット幸せになってほしい。

 でもやっぱこの手紙の表示の仕方、音楽、ほんとーーに最高。手紙もそうだし初めて女装して授業に出たときの生徒の質問までも最高だし、全てをうっちゃってフレッドがパーティに繰り出すシーンも最高。音楽と映像のつなぎ方が最高。

 時計を置いて旅立った、想像上の人里離れたイル・オ・ノワール(黒い島)での、この先の二人での暮らしを見せたくて連れて行ったロランス、シャルロットの存在を夫から知らされたフレッドのすれ違い。朝握りしめてるネックレスって蝶のやつ…?

 視線は空気と同じくらい重要。

普通と異端の消滅を望むロランス。「普通への称賛」で語られるAZ。

AZ、最初で最後の女性。フレッドは最高の女だけど、ロランスの隣にいると「性同一性障害のロランスをサポートし献身的に愛する女」になってしまう。だれでもない、ロランスとは「とにかくロランス」として出会ったのに。

アデル、ブルーは熱い色と同じ感覚、食べ物の好みもリズムもぴったりで、一緒にいると最高だけどお互い傷ついてしまう。

99年の再会でロランスの本を読んでこなかったフレッド、毎朝あったかもしらない未来を見るロランス。ロランスの返答次第でなにか変わったかもしれないけど、どっちみち別れてたかも、地上に降りる気はないという会話で別々の出口から出ていく。お互い何度も何度もふりかえる。出会いが鮮烈すぎて忘れられないけど、覚悟して老いていく。
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