安堵霊タラコフスキー

楽園からの旅人の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

楽園からの旅人(2011年製作の映画)
4.0
極稀にもう一度見る目的でなく既に見ていた映画を再度見てしまったときは自分の健忘症を疑い絶句してしまうのだけど、この作品に限っては価値観が昔と変わった今再び見たのは正解だったと思う

廃れた教会にアフリカ系移民が訪れ老いた司祭が共同生活を行う話だが、最小限の台詞と全編セットを用いた演劇的演出で独特の味わいが齎されており、テーマにおいても場所をどう使うかは使う人間次第という皮肉と真に必要な人間に使われてこそ価値があるという真理を克明に描写されて、キリスト教徒でなくても染みる作品となっていた

歳を取って若干作風が変わった感があるものの、整然とした演出は確かにエルマンノ・オルミのそれで、小品ながらも彼の根幹にある美学というのが色んな意味で伝わる作品だ