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最愛の大地のnaomiのレビュー・感想・評価

最愛の大地(2011年製作の映画)
3.2
島国に暮らす私達日本人には、同じ国者同士の争いなんてピンとこないのが正直なところ。自分では、理解したつもりでも複雑なそれぞれの立場を、本当の意味では分かりきれないことが悔しい。

恋人でありながら、内戦により敵対することになってしまったセルビア人男性とボスニア人女性。2人の恋愛に焦点を当てていて、当時はこのような恋人たちもいたのだろうと思った。
しかし、あのようなひどく緊迫した長い紛争の中で、主人公の女性だけが特別扱いされる状況がどうしてもつくりものに見えてしまった。
たまたま恋人が収容所にいたから、守ってもらえたけれど、他の女性たちにはそんな存在はいない。いつ襲われ軍人たちの道具にされるか分からない。殺されるかもしれない。ずっとずっと怯えて生きなきゃいけない日々と戦っていたのではないだろうか。誰かが救われる裏では、傷つく人がいる。

セルビア人男性は心優しく敵を殺せないが、隊長と呼ばれる身で誰も殺さないのには、無理がある。そんな悠長なことはしていられない状況なはずだ。などなど、少しばかりか疑問視するところがあった。
戦争や憎しみ、恨みからは、何も生まれない、何も残らない、人間はなんて愚かな生き物なのだろう…そんなことは誰もが分かっているのに…。
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