ちろる

バービーのちろるのレビュー・感想・評価

バービー(2011年製作の映画)
3.5
妹スンジャはアメリカに憧れを抱いていて、本物の家族よりもアメリカに行く方がいいという。
スンジャはずっとバービーに憧れていた。
そうしたらある日アメリカ人の父娘が自分を迎えに来た。
スンジャではなくなぜか自分を。
これから家族になるのだと叔父のマンテクは言う。
スンジャはそのことを許さず、何とかそのアメリカ人に好かれようとした。アメリカに憧れていた妹のスンジャは、自分が養女になりたいと言うが、体の弱さを理由にマンテクは許さない。
そもそもこのアメリカ人の父親、引き取りをするスニョンにもスンジャにも笑顔ひとつ見せない。
同伴させたアメリカ人の娘は心優しいスニョンを気に入るが、姉妹になるはずの2人の交流を、許さない。
不可解なことが重なる中、スニョンはこのアメリカ人の残酷な計画を知るのだった。

物語の軸は少女の養子縁組制度を隠れ蓑にした人身売買。
こんなお話だと観るまでまったく予想をしていなかったので、呆然とする。

知的障害だが二人の娘を心底愛している父親、アメリカ行きを嫌がる家族思いの姉のスニョンとアメリカに憧れ念願のアメリカ行きを手にする妹のスンジャ、そして欲に駆られた非道な叔父、娘のために非人道的行為に走るアメリカ人の父親の、父親の真の意図に気づき実の妹助けたさに口を紡ぐことにした米国人少女。

それぞれの思惑が歪に組み合わさり、どうしようもない殺伐としたラストに向かっていく。
韓国人家族側からと、米国人家族側からとの状況を同時に想像するとどちらも切ない。
いや、アメリカ人の父親の方が非道なのだろうが、そこが分からなくなるほどにクレイジーな行為に走るのも少しわかる。
これは実話なのか?だとしたら・・・

子役たちの演技がどれも印象的。
なぜに韓国人子役はこう上手いのだろう?と毎度感心させられる。
主役の子の静謐な演技もそうだが、妹のこ憎たらしいあの演技と共にラストに向かうと複雑な、いけない感情が一瞬沸いてしまった。

こんな話、日本だとあり得ないと思ってしまうわけなのに、韓国だとリアル味を感じるのはなぜだろう?
同じ先進国といえども、まだ貧富の差の激しさを感じる主人公たちの生活がそう感じさせてしまうのだろうか。
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