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ヌードの夜/愛は惜しみなく奪うのsyuheiのレビュー・感想・評価

3.5
#アトロク で遅まきながら訃報を知ったので晩メシ食いながら観る。2010年の石井隆監督作品。

都内でバーを営む母娘3人は金のために男を殺しバラバラにして富士の樹海に遺棄するが誤ってロレックスも捨ててしまう。時計探しを娘の1人レンに依頼された代行屋の紅次郎は調査で関わるうちに彼女が実父から性的虐待を受けていたことを知って同情し、母娘たちによる父の殺害計画に手を貸すが…。

エロチックでバイオレントな石井流ノワール、本作は93年『ヌードの夜』に続く紅次郎シリーズの後編。佐藤寛子は堂々たる脱ぎっぷりで、その肉体を全面的に活かして"女の武器"を超えた"女の狂気"を熱演する。その激しさは共演の大竹しのぶをも凌ぐ。レンの狂気に寄り添い癒そうとする竹中直人が健気。

ラストシーン、富士の樹海に沈む不思議な空間"ドゥオーモ"(イタリア語で「教会堂」)でのシークエンスは石井流演出がふんだんに味わえる。特にライティングによって石壁と裸体の境界線が消失し、無機物と生身が融合するような感覚に石井テイストの魅力がある。が、さすがに長く感じるのは否めない。

https://twitter.com/syuhei/status/1537738119255953408
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