友二朗

ウォッチメンの友二朗のレビュー・感想・評価

ウォッチメン(2009年製作の映画)
5.0
「世界は生き延びる」

1985、ニクソンの任期延長時代。
ヒーローチーム結成、ではなく条約による文化の衰退、そして引退のその後を描く。

重厚的で複雑な展開。
自分の癖に刺さって仕方がない。

思ってもいなかったが人生のヒーロー映画で1番好きかもしれない。シリーズに頼らずここまで濃密な余韻を残してくれた。

冒頭のタイトルシークエンス、Bob Dylan「The Times They Are A-Changin' 」に合わせてアメリカヒーローの歴史を駆け巡る。この魅せ方と編集にグッと引き込まれた。銃口に花を挿して、のこのシーン。

この時点で鮮やかに持ってかれて「ああ、きっと今、自分がここに座ってこの作品を観ている事は幸せなのだ」と確信できた。

本当に現実社会にヒーローが存在したら、このように様々なしがらみの下で極めて不確かな存在になるだろう。戦争に駆り出されるヒーロー、引退するだけでなくよりリアルなその後。今まで真似したくなるような、憧れるようなイメージを抱いていたが、やはり誰しも人間として世界で生き抜くことは決して楽ではないと痛感した。

正義とは何かここまで考えさせられる映画はない。それぞれのアンサーを示されるがやはりどれも正解ではなく、またそれぞれにとっては正確なのだ。社会秩序の実現なんて不可能ではないかとある種絶望した。

ヒーローも当然全員が完全ではなく、闇を抱え、挫折を経験し、愛に溺れる。むしろそれらを超越すると人間らしさを感じられない。こんなにも傷があるのに何故これまでに愛おしいのだろう。

深いテーマと並行して素晴らしい構成から織りなされるミステリーが進行する。その一部始終も大好きだったし心から納得できた。ラストは唸るしかなかった。人々が手を繋ぎ笑い合っていることで記事に書く事がまるでない世界。この皮肉さが格好良すぎる。

決して単純ではない対立の構図、オチ、それぞれの思想、何より台詞が美しい。何度も何度も観たくなる、きっと観る度に違った感想を持てるだろう。

コメディアンがかつての宿敵モーロックに誰よりも友情を感じて自らの罪を告白するシーンに強くリアリティを感じる。実際ヒーローもヴィランも対して相違はない。このテーマは長年語られてきたがそこに答えなどなく、時代と事実があるだけなのだ。

オウルの悪夢、核爆発を背後にキスをする映像。これには言葉を失った。世界大戦を目前に真の自由を得る2人。好きに人を助け、好きに人を制圧し、好きに生きる。月光の下「ハレルヤ」のラブシーンは最高。

日本のオマージュおもろ。
ギャングのちょんまげ似合わんな。

ジェイニー関連の話切ない。
地球を見放し火星に移るDr.マンハッタン。
彼のキャラクターメイク最高ですな。パワーバランスがイカれているチームってこんなにも面白いのか。

「奇跡とは君が誕生したこと」
この奇跡そのものの説明シーン壮大すぎて訳分からん感情になった。コメディアンのキャラが立っている。力を持っていても家族や血からは逃げられない。

とにかく挿入歌が良い。
お洒落な名曲で溢れている。

アメリカとロシアの核戦争へ。
史実とのグラデーションがたまらんたまらん。

バラード×スローモーションアクション
コメディアンの冒頭シーン。これ良かった。

何度も言うがBGMがとにかく良かった。

頭使わず思ったことをバーっと書いた。
また今度ちゃんと書こう。

いや観て良かった。素晴らしい。
読んでくれてありがとう。

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「歩く核抑止力がいるから
 脅威を感じて増やしているのかも」

「誰がウォッチメンを見張るのか」

「自分達もマスクをして法を越えよう」

「あんなクズに5回も投票した」
「共産主義者よりマシだ」

「ロシアの持つ核は51000基
 ジョンがその99%を止めても
 残りの1%で地球は死滅する」

「君たちが時間と呼ぶものを
 タキオンが逆流し透視が不可能に」

「時間は同時に存在する」

「母親は娘が同じコスチュームを着る事を望んでいたから、キーン条約に助けられたわ」

「最近は笑える話題もなくて」
「仕方ない コメディアンが死んだんだ」

「彼もやっとオチがついた」

「誰もがみんな大変なのよ
 善人にも悪人にも平等に雨が降る」

「あんたは人間を失い始めてる
 神よ 救いたまえ」

「人間は灰の中で最も賢いだけだ」

「お前が言うように国を守る」
「一体何から?」
「国自身からだ」

「暴力の果ては暴力で終わる」

「恐ろしい世界で孤立していると思った。医者は言った。偉大な道化師パリアッチを見れば元気が出ると。『先生』私は言った。『私がパリアッチです』と」

「人の心は計算じゃ割り切れないわ
 私は貴方の何?解くべきパズルなの?」
「君だけが世界との繋がりだ」
「そんな責任は負いたくない」

「神がいても私とは違う」

「長いキスを交わすたび
 彼女は短いキスを返す
 サインのように」

「地球にも人間にもうんざりした
 彼らの人生に関わる事に疲れた」

「東海岸は終わりです」
「名門ハーバードも終わりか
 どう逃げ出すか見ものだな」

「"無料"は共産主義と同義だ
 君を調査する必要がある」
んなことあるかい。

「素顔の俺には気付かない」

「雑居棟に入れば命はない。
 ここにいる大半は君がぶち込んだ」

「神があの子を死なせたのではない。
 運命があの子を死なせたのではない。
 神はあの事件を気にも留めていない。
 この世界を作ったのは 神でなく人間だ」

「どんなに暗い世界でも
 それを通せば明るく見える」
「ジョンが見ている世界ね」

「火事から人を救うのと
 警察を相手に回すのとでは」
「大違いだ。だがより面白い」

「今はこの赤い星が君の青い星より大事だ」

「古代の王ファラオは世界の滅亡を望んでいた
 自分達は蘇ると信じていたからだ
 今頃待ちわびているだろう」

「地球はどうなるの?」
「君の涙で終わる。
 宇宙にとって取るに足らない現象だ」

「奇跡とは不可能を示す。
 実現可能な事しか起き得ない」

「私が人間の観点で考えていないと言うのなら
 君も私の観点で考えていない
 恐れて目を閉じている」

「余計な口出しだが上昇しないと..」
ロールシャッハ可愛い。

「人類の野蛮性はやがて世界を滅ぼす」

「そんなことはさせない」
「させない?私は漫画の悪役とは違う。
 自ら負ける可能性を出すため計画を
 話すと思うか?20分前に起動した」

「君は何を成し遂げた?
 私の妨害に失敗した事が君の唯一の功績だ」

「米ソ両国が手を結び、共通の敵を討つために」

「見ろ 戦争を止めた
 私と君が止めた。私と君の勝利だ」
「彼が正しい。
 暴露すれば再び人は核戦争へと向かう」

「妥協はしない 例え世界が滅びようとも」

「私はこれから計画のために
 殺した人間を思いながら生きてゆく」
「許しはしないが非難もしない
 だが理解はする」

「私は全てを変えられる 人の心以外は」

「私はこの銀河を離れる
 もっと純粋な星を探す」
「命の価値を知ったのに?」
「命を創造しようと思う
 さよなら ローリー」

「世界平和が実現した 犠牲のおかげで」

「何故彼を許したかと聞いたわね
 あなたを授けてくれたからよ」
友二朗

友二朗