ロールシャッハは「目の前の一人を一途に救いたい」というタイプのヒーローで、大体の物語のヒーローって彼みたいのが主人公。
でもこの映画は最後に彼を叩き潰すところに現実があると思った。そんな極微の正義は大局の前では意味がない。
飽くまでこの世界の抑止の優先度は【犯罪<戦争】なのだと提示する。
よくあるヒーローものと思って蓋を開けたら、奥の深さに痛い目見たw
一人の元ヒーローが暗殺されるというミクロな事件から、世界の破壊と再構築というマクロな視点へと終着するストーリーだけでも素晴らしいけど、この映画はそれだけじゃない。
世の憂いが怒りへと変わり正義を執行する者、幼少期の情緒的ストレスが反発した者、超越し圧倒的な力を手に入れ正義とされた者、小を犠牲にしても大を救うことが正義と考える者。
これらは一言で言えば「ヒーロー」という言葉に集約されてしまう。
私が言っている正義は、今、目の前で対話している相手の言う正義と同じものなのだろうか?
同時に、どの正義を支持しても間違いとは断言できない。
形が違えば、正義と正義は衝突し、やがて何かしらの答えが出る。けど、答えが出ても世界はまた続いていく。その後また、正義は衝突するだろう…そんなことを突きつける映画。:-)
アメリカとロシアの戦争回避が、少なからぬ人の犠牲と平和のために罪を被るヒーローによって実現されるというのも、ファンタスティックな発想。
また全能なジョンがほぼ神として描かれているけれど、最後にそれを世界で最も賢い人間が納得させる。と言う結末もシビれた。
ジョンが地球を離れるっていうラストは、神が人間を信じてその後を委ねる→我々は自分で最良の答えを探していかなくてはならないって言うメッセージなんじゃないかなと思い脱帽。
ザック・スナイダー監督、素晴らしい。