オジサン

ウォッチメンのオジサンのレビュー・感想・評価

ウォッチメン(2009年製作の映画)
5.0
このウォッチメンを鑑賞した世の男性は、ほぼ半数がきっと格好良いヒーローの上位にロールシャッハが食い込んでくると思います。

この世界の有名な誰でも知ってるような宗教、キリスト教とか仏教だとかに共通していることがひとつありまして、それは自己犠牲の精神です。

例えば男性の好きなヒーロー像というのは、世界のために自分を犠牲にできるのがヒーローなのです。要するにロールシャッハです。
では女性はどうかというと、世界なんて大袈裟なものではなくてもっと小さな守るべきものや、愛する人のために自分を犠牲にできるのがヒーローです。
要するに王子様ってことですね。

このふたつは個人差はあれども大方の共通点として挙げられる男女のヒーロー像の違いですが、どちらも自己犠牲の精神というのが根底にありますよね。

日本の古くからの言葉にも、情けは人の為ならずというものがあります。
情けを他者にかけるのはその他者のためではなく自分のためですよという意味の言葉です。
これも自己犠牲の精神に他なりません。

一応、断っておきますが私はこのウォッチメンを極上のエンタメ作品として見ております。
実際の歴史にヒーローがいたらとか、そういう観点では作品を楽しんでおりませんが、そのヒーローの成り立ちとか作中世界の年表とかを調べてみると非常に面白くは感じます。

そして、この映画は間違いなく男のための男が悦ぶだけの大傑作だとも思っています。
この作品に出てくるヒーローはあくまでも私の個人的な見解ですが、

覚悟ガン決まりスーパーパワーを持たない普通の人類最強の肉体を誇る大富豪オジマンディアス。
人間を超越したことで善悪の区別が取るに足らないものだとして人間性を失ったドクターマンハッタン。
とにかく好き放題やらかしまくる鬼畜漢コメディアン。
なんでお前ヒーローやってんのってくらい(周囲と比べると)普通に感じてしまうナイトオウル。
男の映画であるため糞女代表にしか見えないシルクスペクター。

その濃い面子の中で燦然とヒーローとして世の男共の心を鷲掴みにして離さない奴がロールシャッハなのです。

ロールシャッハは売春婦の息子として母親からも愛されず、周囲からはそのことで虐められ、体格もよくなく小柄で病弱な少年でした。

そんな少年、ウォルター・コバックスが大人になって風呂にも入らず世間からは禁止されているヒーロー活動を通して信念と一応称しますが、それを貫いてその最期は!という作品だと思っています個人的には。

たしか映画のラストと原作のアメコミでは展開が異なっています。
それでも原作者がお墨付きを与えるくらいには秀逸な作品がこのウォッチメンです。

とにかく観ろ、男ならな。
そういう作品だと私は思います。
なので星は最高の5つとします。
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