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ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリーのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

3.0
[] 60点

マウゴジャタ・シュモフスカ長編四作目。ベテラン監督から新人監督まで神出鬼没なジュリエット・ビノシュを主演に迎え、当時まだ無名だったヨアンナ・クーリグと子役イメージから脱却しつつあったアナイス・ドゥムースティエを起用してフランスで撮ったのが本作品である。雑誌「ELLE」のベテラン記者アンはパリ市街地に夫と二人の息子とともに暮らしていた。今彼女が取り組んでいるのは、女子大生の援助交際についての記事だ。アンは二人の女子大生への取材を進める中で、彼女たちが援助交際を屈辱的なこととは思わず、むしろ最短で同年代の人々の求める物質的欲求を満たしたことを誇らしくすら思ってることに気付く。確かに文芸エロ映画っぽくソフトポルノシーンはあるし、誇らしくすら思ってるとは言え家族や恋人には打ち明けられないという側面を描いたり、危険な客を登場させたりして、多少批評的に見ている部分もあるが、映画の殆どは取材したアンについての物語である。二人の子供たちにはナメられまくり、編集者には原稿を短くしろと迫られ、夫の上司夫婦を家に招いて媚びへつらう必要があり、という生活は現代的な価値観から"幸福"と呼べるのか?というかそもそも現代的な価値観って何なんだ?という疑問を様々並べていく。その点で、同時代のエマニュエル・ベルコ『ザ・レイプ』とは違っている(うろ覚えだが)。ただ…まぁ在り来りっちゃ在り来り。実は同じ時期にパヴェウ・パヴリコフスキもフランスで映画撮ってるんだが、シュモフスカとパヴリコフスキは友人らしく、『イーダ』の主演の人をカフェで発見したのもシュモフスカらしい。
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