このレビューはネタバレを含みます
【熟練された演技】
いやいや、この映画は、
下世話な話である。
冷え切った、夫婦仲を、
セラピーを受けながら、何とか、修復していこうというお話。
31年目にして、結局、そういう解決方法なワケ?
行き着くところは、そこなワケ??
・・・と、根本からして、
納得いかない。
でも、そんな内容でも、いい。
この映画は、メリル・ストリープと、トミー・リー・ジョーンズが熟年夫婦を演じている
・・・・という所に、醍醐味があるのだから。
結婚31年目らしい、完全に無防備な夫と、
孤独感を感じながら、日々ため息で生きている妻を、
まぁ、ほんと、納得しまくりの演技で、演じてくれている。
というか、夫に振り向いて欲しいと願う妻に、
妻のわけのわからない訴えで、セラピーに渋々ながら行こうとする夫は、
それだけで、全然、冷え切っていないよなぁ~と私は思う。
妻は夫を想い、
夫は、妻を少なからず想っている。
それで、充分じゃないか・・・と思ったりもする。
だって、31年だもん。そんなものじゃないかと。
けれど、課題を乗り越え、辿りついたあとの、
2人の輝くような笑顔を見ると、
それ以前の2人が、幸せではなかったことに
改めて気付かされるのだ。
互いを想いやっていても、
それだけでは、「幸せ」には不十分であるということなのだ。
「子供も育て、孫も出来て、それなりに幸せだった」という31年目の感触と、
「今も、夫と過ごせて幸せ」では、全然、違う。
31年にもなれば・・・と諦めてしまうか、どうか。
10年にもなれば・・・・と諦めてしまうか、どうか。
その姿勢を、自分に問いかける良いキッカケになる。
まぁ・・・しかし、ほんと、熟年夫婦の役を、
完璧に演じておられました。
この2人の、一味違った演技を見るだけでも、
充分な作品である。