ア

人間椅子のアのネタバレレビュー・内容・結末

人間椅子(1997年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

あの短編をどうやって80分の作品に仕上げるのか、期待と不安を持っていざみてみる。
冒頭、主演の清水さんの艶かしい目隠しプレイ。この時点でかなり刺激的。なんだあの上品なえっちさは!タバコを吸う横顔は陶器のように滑らかで、触れたら容易に崩れ落ちそうな儚さがたまらん。儚げな人ってどうしてこう魅力的にみえるのか
中盤、奥様自身が出向くし、國村隼が仕組んだのにも関わらず寝取られそうでちょっと面白い。ここらへんから、原作とかなり違うと思ったので別作品として捉えた。
最後、自分の視力を失ってでも妻との愛を育もうとする姿勢が美しかったし、色んな愛の形があることをみせられた。そしてなにより、エンドロールで流れる澄淳子さんの『君恋し』がどちゃくそ刺さった。最初は曲名がわからず、Shazamで検索したもののヒットせず、そうだと思い歌詞を検索したところようやく発見。原曲とご本人のYouTubeもみたけど、昭和チックでジャズ調のこれが個人的には最強。テープとかCDないのか?
全体としては、露骨な表現がないからこそ官能美が際立つんじゃないかなあと思った。でも実際、冒頭のあれみせられたら期待するのが男。故にこの監督は焦らしプレイのプロ。あと全体が赤く染められた時に始まる演奏がよかった。厭世的で、不協和音にも受け取れるその音だけど、だんだんと耳に馴染んで大正をイメージさせられた。もっと言えば椎名林檎の『迷彩』を思い出した。(清水さんの髪型が椎名林檎っぽいからというのもあるかもしれないし、実際に『迷彩』は大正をテーマとしているから)
出てる人たちも全員若いし豪華で、特に温水さんの髪ふっさふさなのも見どころ。
ア