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たまもののshxtpieのレビュー・感想・評価

たまもの(2004年製作の映画)
3.5
撮影当時、33か34歳の林由美香のあどけない顔(三白眼が実にパワフル)、四肢がすっとのびたやせたからだ、わずかに膨らんだ乳房のアンバランスな少女性--無垢なる少女的な純潔と不純とのあわいで、『たまもの』はぐらぐらと不安定な場所に立っている。とにかく林由美香を見るための『たまもの』だが、性交の描写がすごくいい。本番行為をそのまま撮影したというセックスシーンは、AVであれば女性のからだが見えるよう、どの体位でも女優と接合した男優のからだはちょうど直角になるのだが、『たまもの』においては男と女はからだを重ねてひっつきあわせ、ぐちゃぐちゃと口づけをしながら交わっている。しかもそのくっつきかたは、なにかを見せたりなにかを隠すためでなく、ただセックスしているからくっついているのだ。林由美香が悶絶する表情、そして特に印象的だったのがラブホテルの中途半端な大きさのベッドの端からセックス中の林の頭がずり落ちそうになっているショットで、こういった性交の描写はリアルを超えたなにかである。コンビニエンスストアのドアの「銚子愛宕店」という表示からおそらく千葉で撮影されたと思われるが、ロケハンもいい。さびれた防波堤、廃れたボウリング場、ボロいアパート--林やさえない助演俳優なちとともに、妙な説得力を映画に与えている。コント的なスーパーリアリズムとリアリズムに引き裂かれながら、『たまもの』はなにものにも変えがたい魅力を放っている。
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