林由美香目当てに足を運んだが、作品自体が素晴らしかった。
余計なセリフの全くない演出。更に、全く物言わない主人公。
ジトっとした港町のくたびれ果てた物語。
自分の存在を認めてくれる相手にすべてを捧げ、離れていくのを食い止めようと相手の全てを受け入れ、それでも去っていくのを見送るばかり。
その間、女は一言も喋らない。
社会の裏と表。社会で男が生きていくため女を息抜きの道具にする。それを薄々感じながら、それでも男を大切な宝物のように扱う。
男のことを「ヒドいヤツ」と簡単に言ってしまえない自分がいる。
人の心は、常に見えないところにある。
それが表出するとき、事件は起こる。
成人映画と一般映画の境目がますます分からなくなった。