明石です

トゥ・ザ・ワンダーの明石ですのレビュー・感想・評価

トゥ・ザ・ワンダー(2012年製作の映画)
4.5
パリからアメリカへ移住してきた、のにアメリカが死ぬほどイヤになり帰国する少女と母親、そして義理の父親となるはずだった男。愛と信仰の間で揺れるカトリックの神父に、暗い過去を苦しみながらも不器用な恋愛を重ねる男性不信の美女。マリック監督が得意とする映像と洗練された台詞で綴られるオトナの群像劇でした。選び抜かれた言葉のひとつひとつが詩のよう。

もちろん映像もとびきり目を惹く代物でした。アメリカに住んでない自分ですら、パリからオクラホマにカメラが移った瞬間、一目で、アメリカだ!とわかる風景。このとりわけド田舎という感じでもないのに広大に広がる何もない景色に心打たれる。初めてのスーパー(コストコ風の超巨大なやつ)に足を踏み入れ大興奮、すごい!ねえママと結婚して、私の義理のお父さんになってよ!と渡米を喜んでいた娘が、しばしのちに死ぬほど帰りたくなってるのには胸が詰まるけど、、何もかもが違いすぎるのね。しかしオクラホマとなんとなく地続きのような(多分映像自体もそう見せてる)ノルマンディーの自然の景色の美しさよ、、

この監督の映画は、複数の魅力的な女性の間で揺れる男を題材にした話が多い気がするのだけど、本作ではオルガ・キュリレンコとレイチェル・マクアダムスといつもながらに超豪華。私なら100回中100回キュリレンコ選ぶし、ついでに言えば1回たりともベン・アフレックは選ばないけどね(妄想)。精神の不安定な女性たちとマッチョで寡黙な男のドロドロした恋愛劇。難解な映像作家マリックの作品の中ではテーマがはっきりしていてとっつきやすい部類だと思う。何を得るか(得ないか)は見る人次第な感じは相変わらずだけど。
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