パシフィック・リムがトランスフォーマーするパンズ・ラビリンスな夏休み子ども映画と思いきや、まさかのブラックホーク・ダウン完全版だったでござる。
最初の10分は、なぜか恋人たちの予感がするフェイク・オーガズムの再現とか、「憧れの映画のマネしてみました」みたいなポンコツ映画の条件が揃ってて脱落しそうになるんだけど、バスにミサイル撃ち込まれる辺りから別ジャンルの映画のようにトランスフォームしたもんだから、一気に引き戻された。これ、本気の戦争映画じゃん。神々しいまでに気合い入りまくり。
市街戦の演出なんて、銃器や爆薬の扱いから戦闘のフォーメーション、戦地の交通事情まで、臨場感が半端じゃない。よくある、ボロ着た一家がリヤカーに家財道具積んでガラガラ避難、みたいな生ぬるい描写はない。
そう思えば、冒頭の色ボケしたシングルマザーの発情エピソードも、バカっ母の成長物語に必要な描写として納得はできる。
ただ、ガチでハードな戦争映画と夢見るロボットSFの融合に、カツ丼の上からハチミツかけられたような違和感が最後まで拭いきれず、集中力が削がれたのも事実。
とはいえ、最後は母の愛の強さや敵味方を越えた人道的判断に泣かされるし、留守電エンディングも気が利いている。
個人的には、激しい戦闘の真っ最中に、心配したお母ちゃんから携帯に電話がかかってきて「工事現場だよ」って優しいウソをつくシーンが微笑ましくてお気に入り。