みんと

11'09''01/セプテンバー11のみんとのレビュー・感想・評価

11'09''01/セプテンバー11(2002年製作の映画)
3.9
11カ国の映像作家が異なる文化を背景に、11の視点で描いた2001年9月11日NYの悲劇。完全なる表現の自由に則り11人それぞれの主観的良心にもとづくオムニバス。

イラン🇮🇷
イランのアフガン難民となった子供目線の9.11。“神様が壊すのは人間だけだもの。神様は世界を造って壊してまた造り直すんだよ“

フランス🇫🇷
クロード・ルルーシュ監督作、耳の聞こえない女性にとっての9.11。
“恋の終わりは世界の終わり“… 如何にもフランスらしい描き方で、寄り添いやすく心を揺さぶられる。

エジプト🇪🇬
愚かな悪循環が起きている。
僕の母の目を忘れるな、あれこそが人間愛だ。

ボスニア・ヘルツェゴビナ🇧🇦
自国の内線の歴史を絡めてるのかなぁ…
女性に何が出来るの?だからこそデモをしなきゃ。

ブルキナファソ🇧🇫
ヴィンラディンを捕まえて賞金で病気の母の薬を買う。シニカルテイストだけどお国事情が窺える。取り敢えず国の所在地をGoogle Earthで検索!笑

イギリス🇬🇧
ケン・ローチ監督作。
聖アウグスティヌスいわく、希望には2人の娘がいる“怒り”と“勇気”
それは現状への怒りと変わろうとする勇気。

メキシコ🇲🇽
最も直球作品。真っ暗な画面に時に映し出される生々しい映像、緊迫感漂う通話の音声。ダイレクトに伝わるメッセージと鎮魂の叫び。

イスラエル🇮🇱
エルサレムでのテロ発生を伝えるジャーナリスト、パニック映画のような混乱と慌ただしさ。…NYで起きた事件を前にくだらん情報番組を撮るな!と一掃。

インド🇮🇳
実話に基づく物語。9.11によってイスラム教徒は目の敵となる。テロリストからヒーローに… 偏見こそが真実を曇らせる。

アメリカ🇺🇸
ショーン・ペン監督作。難解だった。
独特の映像表現で間接的な描き方が、意味不明と思いきや、後からジワジワ来る。

日本🇯🇵
今村昌平監督作。
“兵隊に行って蛇になってけえってきた“
あまりにも衝撃的で、独創性に長けていて異質でもあり賛否別れる作品。
“聖戦なんかありはしない!“


直接的な捉え方、広い視点での捉え方、歴史に踏み込んだ捉え方…
監督としては4名しか知らないけれど、それぞれのお国事情が反映されていてとても興味深い作品だった。とは言え、自分自身があまりに世界を知らなさ過ぎる事も突きつけられた。

個人的には、お洒落テイストのフランス(クロード・ルルーシュ監督)、不謹慎ながら映像美にも惹き込まれるボスニア・ヘルツェゴビナ(デニス・タノヴィッチ監督)、あくまでも生々しく直球で強烈に訴えるメキシコ( アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)あたりが好みだった。
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