パッケージからは吉田恵輔色薄めの映画かと思ってたら、娘が作ったトンカツを食べてゲロを吐く母親のシーンを筆頭とする気まずい笑い、平気で人の中の地雷を踏んでいく会話のやり取りがあったりと、しっかり吉田映画だった。
疎遠だった母のルーツを探る旅だけでなく、狭いコミュニティの中で多岐にわたる親子の関係性を見せつつ、麦子がミチルさんに伝える率直な思い。どんなに親失格な人間であろうとも親は親であるというテーマが、作品群の中で一貫してどんな人間をも突き放さない吉田監督の眼差しとピッタリ合っている傑作。時計の使い方に涙。