みかんぼうや

危険なプロットのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

危険なプロット(2012年製作の映画)
3.6
フランソワ・オゾン監督作品初挑戦。クロードという生徒が高校の文学の授業で提出した連載物の作文。その生徒の友人家庭を覗き込んだような生々しい表現と文才に惚れ込んだ担任の先生は、その生徒の才能を伸ばそうと熱心に指導するが、クロードの物語は、その担任の人生を思わぬ方向へ引き込んでいく・・・

全く暴力的なシーンも無いのに、“言葉”が生み出す、なんとも言えぬ不安感によりサスペンスとして見応え十分。ただひたすらクロードが描く他人の家庭を描いた文章中心に話が進むだけなのに、作品全体に漂う不穏な空気感を作り上げているのが見事。続きが気になる連載物の小説を短時間に見せるような構成も巧い。が、中盤若干展開的にマンネリ化してきたのは少し残念(後半にまた話は動くが)。

設定はだいぶ異なるが、人間のちょっとした好奇心から泥沼にハマっていく感覚が、なんとなく「アメリカン・ビューティー」を観た後の後味と似ていた。
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