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野獣死すべしのcamusonのレビュー・感想・評価

野獣死すべし(1980年製作の映画)
3.5
ハードボイルドとかピカレスクとかにカテゴライズされるようです。主人公が銀行強盗をする話です。

冒頭、暗闇の雨の中での格闘シーンで、パンチがまったく当たっていないのに、当たったことにしてしまう安っぽい芝居を見て、先行きが相当に危ぶまれたのですが、それ以降は、粗い部分はあるものの、随分と持ち直して、楽しめました。

小林麻美が、若くて、まだ肉が詰まってる感じで、色っぽくてカワイイですね。ちょっとしたことで崩れそうな、バランスがあやうい美人と言えます。(麻生久美子とかもバランスあやうい系ですね。)

そして何より、松田勇作の役づくりが出色です。狂気を発散させずに、飲み込んで、滲み出させる演技がいいです。鹿賀丈史が演じるアフロのチンピラウェイターが、対照的にキャンキャン吠えて威嚇するタイプで、松田勇作の演技を引き立てています。

松田勇作演じる主人公は、過去に戦場カメラマンをやっていて、戦地での悲惨な状況、犠牲者達の写真を撮っているうちに、狂気が芽生えたというような設定のようなのですが、そういう説明的なものが邪魔くさく感じてしまいました。そのまま感覚だけで突っ走った方が良かったのではないでしょうか。

終盤、劇場で声を張るシーンや、劇場を出た後のラストシーンなどが、考えるな、感じろ的なものなだけに、なおさらそう思いました。
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