Ryan

野獣死すべしのRyanのレビュー・感想・評価

野獣死すべし(1980年製作の映画)
3.1
幽鬼 松田優作


ストーリー
通信社のカメラマンとして世界各国の戦場を渡り歩いた後、退社して優雅な日々を送る男。その内側には野獣の血を潜ませ、巧みな射撃術、冷徹無比な頭脳を持ち合わせていた。


主演 松田優作


ハードボイルドとは?
10キロ減量し奥歯を4本抜いた松田優作の役作りが功を奏し、幽鬼の様であった。

とても掴みどころがない。
煙のように手のひらに収まらず、払えばまとわりつき、吸い込もうとすれば突き放される。
この映画の解釈について考えたが、解釈しない映画なのではないだろうか?
徐々に不審な点に気づいていくのだが、よくよく考えれば最初から変だし、非道さにカタルシスを感じるのは気のせいではないはず。

物語云々ではなく、松田優作の演技が凄いだけ。物語は視点を変えれば難解だが、あのラストは見方によっては映画のタヴー的でもある。
個人的な事を言うなら物語はまったくハマらず、哲学や殺人の衝動、肯定、否定をセリフで詩のように朗読させているだけ。
無駄なセリフが排除されている分、勿体無いと感じた。

松田優作の幽鬼の様な顔面蒼白の演技に思わず鳥肌がたった。あの喋り方、独特な口調、良い声。
これが"松田優作"か。
Ryan

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