あまのうずめ

野獣死すべしのあまのうずめのレビュー・感想・評価

野獣死すべし(1980年製作の映画)
3.8
刑事が襲われ拳銃を奪われて死亡する。犯人はその銃でカジノを襲撃、大金を奪う。その男はクラッシックを部屋で楽しみコンサートにも行く。男は宝石商にダイヤを買うと電話し、銀行で会うと日時を指定。しかし時間に現れず遠巻きで観察していた。


▶︎大藪春彦の原作を村川透が監督し松田優作が主演したトリオ作の第2作目。

アメリカ版浦島太郎の『リップ・ヴァン・ウィンクル』が印象的に使われた終盤の柏木刑事と対峙するシーンの緊迫感と重厚感はハンパない。

主人公の名の他設定人物の名が中々明らかにされないのは『蘇る金狼』と同じで、原作によるものなのか脚本なのか分からないが効果的に外堀から埋めていた。

通信社で戦場を取材していたことが狂気となり、萩原朔太郎と思われる詩を引用しながら、一段上へ爆発させた松田の怪演は表現し尽くせないものがある。『松田優作特集』にて二度目の鑑賞だが観る度ごとに深さにハマって行かされる。

室田日出男と鹿賀丈史も負けじと好演し、初々しい小林麻美の姿も見られるキャスティングも良く、
東映と角川春樹事務所の黄金期と昭和の時代の映画の強さを味わえた。