くりふ

パッション・プレイのくりふのレビュー・感想・評価

パッション・プレイ(2010年製作の映画)
2.5
【ミーガンは妖鳥シレーヌの方がきっと似合う】

これは劇場未公開にナルなぁと納得してしまった、ナル初老男のお話でした。タイトルは大仰ですね。そもそも受難劇ではなく自業自得劇です。

ミーガン・フォックスがうっふんエロ光りしてるのに、勿体ない仕上がり。

背中に秘密を持つ女ミーガンを、人形を愛でるような眼差しで楽しむ作品で、それ以外に、私には本作の魅力は見つかりませんでした。

脚本・監督のミッチ・グレイザーさんは『大いなる遺産』『リクルート』といったメジャーどころの脚本を手がけてきた人で、本作が初監督らしい。で、彼の60前という年齢が、作品の仕上がりに影響している気がします。

主人公のダメ男は、ダメ芸風が板についちゃったミッキー・ロークですが、監督の分身のように思えます。で、どうにも作中の自分に甘いんですね。だらしなく身勝手なのに、そんな自分に酔っちゃってるように見えます。で、ミーガンのような若い美女を「可哀そうな女」にして囲いたい! という、初老男の願望丸見え。

丸見えなんだから素直に囲いたい! と叫んでくれれば思いきり同意しちゃうんですが(笑)、カッコつけて回りくどいんですね。いちおう、オチで理屈は通していますが、この展開では言い訳っぽい。

自己陶酔ノワール、というふうなトーンですが、そこに入り込むミーガンの背中の秘密がファンタジーとなっていき、このふたつの相性がどうにも悪く、見ていてむずむずしてしまいます。

トロントの映画祭で上映されて、ラストは観客失笑だった、というのをどこかで読みましたが、納得しちゃいました。あれだと普通に見ても、ミッキーが重力に負けるとしか思えません(笑)。

相変わらず、ミーガンって作品に恵まれないようですねえ。でも、本作でのミーガン・フィギュアがあれば欲しくなっちゃいます(笑)。そんな類の魅力はまだまだ発揮しているので、消えぬうちにもっと、がんばってほしいなあ。

<2012.6.15記>
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